祭りの後の、

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)



今回は特に好きなフレーズがたくさんあったので、メモとして抜粋。

アパートに帰り、玄関で靴の紐を解いたとき、いつもなら少し無理をして足を抜いてしまうのに、何故か今夜は、手間をかけてやろう、細かいことを無視しないで、生活からこぼれ落ちているものたちを拾ってやりたい、と彼女は思った。
(56頁より)

なんか……、今夜……、
今夜、特別なことが、
特別なスペシャルな、
あらま、同じやん。
何か、起こるのでは、あるまいか……。
アルマイカって、なんか鉱物みたいやな。
といった期待と不安で、どきどき。
(100頁より)

結婚という言葉はまだ出ていない。
(中略)
特に、梨枝の場合、その言葉には多少の抵抗さえ感じる。
(中略)
まるで、その種の抵抗こそが、大人として、一人の人間として、独立することと等価だとさえ、彼女は感じていた。
もしかしたら、それは普通とは反対かもしれない。世の中のルールに隷属することが、一般には大人になること、一人前になることだと認識されているふしがある。しかし、彼女にはどうしてもそうは思えなかったのだ。
(122-123頁より)

「れんちゃんって、頭ええんよね」
「覚えたから覚えているだけじゃん」練無は言った。「知らないことは知らないもんね」
(354頁より)

特にふたつめの引用箇所。
ちょっと強引で面白いただの関西人の女の子としか思ってなかった紫子さんのことが、急にとても愛しくなった。
君に胸キュン。


それにしてもまた最後まで展開が読めなかったなー。ここまでくるともはや清清しい。
思わず最初からまた読み直してしまったよ。
森ワールドの深みに自ら足を踏み入れる快感。